土地の有効活用を促進するビル

 資産価値の高い商店街の密集地で、土地の100%有効利用を達成したのがこの事例。従来は木造2階建てであったものを、地下2階地上5階のビルに建て替えました。騒音公害を配慮して、印刷工場を地下2階に配置、地下1階を駐車スペースとしました。そして1,2階に企業運営に必要なスペースを効率的に配置。余剰の空間である3階から5階を賃貸マンションとしし、有効利用を図りました。
 耐用年数は一般に、鉄骨造で20,30年、鉄筋コンクリート造で60,70年とされます。しかし建築費用を比べれば、鉄筋コンクリート造は鉄骨造のわずか1割程度高いだけ。この差が2倍、3倍の耐用年数となってあらわれます。また、正面にタイルやステンレスを採用することにより、汚れにくくいつまでも清潔さを保つ工夫を加え、さらに耐久性を高めました。
 丈夫で美しい建物は、一時的には確かに費用を要します。しかし、構造面やデザイン面に若干の工夫を加えることにより、資産価値は確実に増大。長い目で見れば、非常に経済的だといえます。
 建築物を、ただ単に器としてのみ考えるのではなく、明るい将来への発展を設計にとりこむことも、建築はなしうるのだと考えます。
   三優社ビル
京都市
1988年完成
RC造