三つ子の魂

若城 光柾200910 

赤ちゃんが自我を意識しだす2,3歳に一人の人間として、現在の生活状況との出会いであり、その子の今後の人生の規範として脳裡に焼き付けられます。その後の学習により修正は繰り返されるにしろ、人格の出発の基準になります。かつ、修正される機会が少ない事柄や、本人に自覚が少ない事象、自ら修正の必要を感じない事項もあります。そうした事象は初めての出会いに接する、親兄弟祖父母の家族生活の状態の影響が大きく左右すると思います。

初めて感じて基準になる要素に、自然環境(四季の移ろい、気候の体感)、動植物との関係(各種動植物の生態、食の連鎖)、社会環境(文化文明の知恵)、人間関係(生活基準、習慣、常識、喜怒哀楽、対人関係)、等があります。

過保護や希薄な人間関係、快適快楽を求めた文明、大人の拝金的な思考や、怠惰な生活状態が、将来の好ましい充実生活への基準と異なった基準として、幼児の自我の目覚めの出発点になっていないでしょうか?

地球上の自然界で!多くの生物達の中で!現在文明を享受している中で!多くの人達の中で!そうした環境位置で幼児の初めての学習が、出発の基準「三つ子の魂」です。

また、遊園地やテーマパーク等遊ばされる、事業者にのせられたり、テレビやゲームに興味を持たせて遊ばせ、時間を浪費させていると、自然体の人間性との出会い体験が少なくなるばかりか、自ら発想する事が出来なくなるのではと危惧いたします。子供が日常の自然界に自らの思いで遊んでいる延長に、不変の真実を体感すると共に、創意工夫したり、自立自活が出来る能力が育つように思います。

「子供を立派に役立つ大人に育てようとする育児」が、大事です。

子供を大人の愛玩物のように育てている飼育、子供を義務感で養っている養育は、困ったものです。また、子育て思いの親につけ込んだ、いいかげんな教育の影響を受けたり、拝金商人の子育て事業にのせられることのない様にと思います。

人類が平和に永続して生活できるように、子供が充実した人生を愉しめるように、自分が安心して余生を愉しめるように、今活躍している大人たちが、「子供を立派に役立つ大人に育てようとする育児」を真剣に考えて努力しなければ、日本人が過去に培ってきた育児のノウハウが伝承されにくく、日本人が作ってきた、世界一の安全安心の安定した社会・代々繋いできた家庭の良い循環の生活環境が崩壊するのではと危惧します

 

 

次世代を担う子供たち

若城 光柾201112 

幼児は幼児の世界の、協調、競争、対人関係の摩擦、で社会性を身に付け、年長者との関係で成長を目指し見聞きし、知識と知恵を貯え、早く両親を始め身近な人の為に役立つ事をよろこんでいます。その延長線上に、成人となって、世のため人のために自分を活かし「人生の満足」を得て充実した一生を終えるのが、群れて生きる、脳ある人間の習性かも知れません。発達した脳で考えて生きてきた人類の、何百万年続けてきた習性です。本来、その習性を支えてきたのが、「亀の甲より年の功」と云われる年長者の経験が後進を指導し、世相から個人の個性ある生き様まで関係してきました。

ところが、核家族化によって、「気楽・育児不安・少子化・先行き不安・気分は自由・生活不自由」の生活をし、又、大衆に向けた情報の氾濫の為か、ゆとりが無いためか、年長者の声に興味を示さず、勉強をする余裕も無く、人としての中身や自信の無いままの、心配な大人の姿が報道される昨今です。その次の、次世代を担う子供達の事が心配です。

今の日本の都会では、学習塾やあらゆる幼児育成塾にお金を出して、子育ての一端を委ねている父兄も多く見受けられます。効率よく重要事項を必要に応じ教えられるでしょうが、一生好奇心向学心を燃やし続ける、自発的習慣がそなわるか心配です。

 

その間保護者は何をしているのか? 老人の経験実績は役立つか?

年長者(保護者)は指導や教授する事で、更なる成長を成しながら、充実生活の一翼を感じます。そして、教え子(子供)に絶大な愛情を注ぎ、教え子(子供)の幸せを切に期待します。愛情と期待・尊敬と恩の関係で成り立っていました。考える動物の人間の、産まれてから死ぬ迄の生涯の基本倫理として、そうした愛情と期待・尊敬と恩の関係を、習熟する事で、次世代を担う子供が育ち、一家代々の幸せが継承されていたはずです。

稼ぎ・月謝・働き・報酬の関係では子供達は、大きくなって稼ぐことに思考が片寄るのではないかと危惧いたします。今の子育て世代がすでにそうかも知れません。

子育ても、住宅も、玩具や子育ての物品も、お金で事を済ますのではなく、その目的達成の内容を吟味して、充実人生としての目的達成の為に、事を運びたいものです。

その為には、「死ぬ間際に、今の豊かな経験能力を持って活躍できたら、もっと、みんなの役に立てたのに」といわしめる、「老人の力」を利用すべく、大家族が協調して生活すべきです。そして、幼児のうちに、人間の当たり前の人間性をしっかり身に付けねば、平和は遠のきます。

仁・・・思いやり、慈しみ。
 義・・・人道に従うこと、道理にかなうこと。
 礼・・・社会生活上の定まった形式、人の踏み行なうべき道に従うこと。
 智・・・物事を知り、わきまえていること。工夫をめぐらすこと。
 忠・・・心の中に偽りがないこと、敬う人に専心尽くそうとする真心。
 信・・・言葉で嘘を言わないこと、相手の言葉をまことと受けて疑わないこと。
 孝・・・おもいはかること、親孝行すること。
 悌・・・兄弟仲がいいこと。
                    (八犬伝参照)