良い建物のすすめ  建築環境と建築経済

若城 光柾 S63.12  

 良い建物を丁寧に造り、何時迄も大切に長く使う。そうする事により、建設のエネルギーを少なくし、結果的に経済的で有ると共に、豊かな建築利用と都市景観を実現できます。その為には、長く使える条件を満たしていなければなりません。

 まず基本的に頑丈でなければなりません。

しっかりと良好な地盤に支持されている事と、骨組みを合理的に計算し設計して、耐久力の有る材料で造る事です。

 次に、その場所に長く存在し得る事。

その場にふさわしくなくなったり、その地域の景観に目障りになるような用途、外観の設計をしないことです。そして、移築してでも残そうかと惜しまれて無くなる様な、やむを得ない場合以外は、良い景観として何時迄もみんなに親しまれて、存在しなければなりません。

 第3に普遍的な建築空間である事です。

それは、それ以上利用のしようが無い最大の空間を活かし、且つ、用途的、機能的、仕切りを可能な限り先を見越して造り、その後の変化に対応出来る様に設計する事です。

 第4に建築設備の変遷と維持管理に常に対応していける様に考える事です。

建築設備の寿命は概ね10年前後と、短いものがある為に、メンテナンスや取り替えが出来る様に設計すると共に、時代の要請や、科学の発達による新しい快適空間や、建築機能を設備するように常に心がける必要があります。

 第5に、普遍的な部位には、手が掛からない事です。

朽ち無い事が絶対条件ですが、それ以外に飽きがこず、何時迄も大事に出来るデザインである事が条件です。

 そうした事を十分に考えて、何百年と長く利用できる良い建物を造る事により、その場所における建設活動は大幅に減ります。即ち、1回の建築は高額に成りますが、建築物価の高騰した次の建設は省略でき、不動産の長いサイクルの次元では建設回数が少なく大変経済的です。又、建設に付随する色々な大変なエネルギー(近所迷惑、近隣問題、精神的圧迫、周りに対する気遣い、等)を考えると、将来にわたる経済性は計り知れません。

 又、良い建物を使うという優位性を持って、豊に生活が出来るのではないでしょうか。不動産と云う永遠の資産にふさわしい、息の長い建築を造られるようにお奨めします。

        理想高くめざし、現実を誠実に努力し続ける、自然の内に!!


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