姿勢  現実と真摯に向き合う

 建築事務所は「安全で快適な生活しやすいまちづくりをする組織」であり、かつ「良質の社会人で構成し地域社会に貢献する組織」であるという社会からの強い期待を受けています。
 「あらゆる建築相談に応え、その処理を通して指導性を発揮できる」「建築問題等で、建築における社会正義の基準を提示できる」というプロとしての務めを果たしてこそ信頼が獲得されます。
 建築事務所の評価は、単に物質的に施工業者を指揮して建築をなし得ればよいというのではなく、「建築事務所の介在による計り知れない付加価値の増大」、すなわち社会における存在価値の有無によって判断されねばなりません。そういった付加価値を認識され、それに見合う報酬が得られて、事務所の発展的な維持継続がはかられます。
 また、建築行為は画一的でないために、場合によっては不合理な法律や不十分な法規そして建築的に未熟な行政等により、建築のためにならない種々の干渉があったり、建設行為によって動く金額が大きいがゆえに、金銭のために他から干渉されて無理が生じたりします。
 いわゆる建築ブローカーなど、建築事務所の資格や信用を利用して、建築行為を建築哲学や社会的責任を重んじる事なく商売の具にする人が介在するケースもありますし、大会社や権力者からの利益や体面のための勝手な圧力が、建築を害する事もあります。これら弊害の排除に当たっては、見識の高い倫理感と公正中立な判断、そして強い意志が必要です。

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