実務  建物を使う立場で建築を創る
(建築主・・設計監理者・・施工者)

 建築家の設計監理の業務とは、建築主の求めに応じて、専門のノウハウを提供し、建築行為が円満に進行するように指導する事です。その結果として、できるだけ良質の建築物を建築主に、ひいては社会に供給できるように努力する事と考えています。
 建築行為は、建築主が主体性と責任を持って行います。また請負契約により施工業者が建物を満足に完成させ、その対価を建築主が支払う義務を負っています。
 設計監理者は、建築主の知識不足や、心配を補うべく、建築行為全般にわたり建築主に対して助言をし、より満足な建物の完成を目指します。
 建築主の建築意図をお聞きし、建築物の間取り、空間の構成、機能の要求、デザインの感覚等、専門的に助言指導します。ときにはほとんど任されて、建築主の建築意図を設計図書や質疑応答等により施工業者に伝達する事が、建築家の建築主に対する責務と考えています。
 工事が始まると、監理者が直接施工業者に対して、打ち合わせ、指示、了解、検査を行います。これは施工業者が当初の建築意図を満たす事ができるために行う建築主に対する責務です。施工業者の責任を軽減するとか、免除するものではありません。
 基本的に施工業者は、建築主が望む建築物を施工完成させ、建築主はその対価を支払う、問題があれば解決する。その関係は何も変わりません。ただ、そうした基本的な流れだけで建築行為が完了すれば良いのですが、現実には多くの困難な問題が出てきます。
 建築主から委託され、当然、円満に建築行為が推移する事を願う監理者は、やむをえず、建築主の建築行為の主体性や施工業者の施工に対する自主性と責任を尊重しながら、問題が起こらないように注意を促したり、解決のための調査、指導、助言、調停をしなければならなくなります。そうした監理者の活動に救われて、多くの問題が未然に防止されたり解決されております。

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